松下 和樹

中小企業のAI導入費用はどの進め方を選ぶかで桁が変わります。目安は次のとおりです。
既存のAIツールを使うだけなら月に数千円から数万円
業務に合わせて仕組みを作るなら数万円から数百万円
ゼロから開発するなら数百万円から1,000万円以上
同じ「業務に合わせて作る」でも金額に幅が出るのは、任せる範囲が1つの作業か、業務の流れ全体か、判断を挟む複数の業務かで手間が大きく違うためです。
MacminolのAI導入支援「NOL-AI」でも1つの作業なら5万円〜、1つの業務の流れなら15万円〜、複数の業務なら30万円〜(いずれも税別)と範囲で料金を分けています。
この記事では解説記事に出ている相場を出典つきで整理し、金額が決まる仕組みと補助金の使い方、見積もりの前に決めておくことを書きます。
AI導入の費用相場(進め方別の早見表)
AI導入の進め方は大きく4つに分けられます。相場は解説記事によって幅が違うため、出典ごとに並べます。
進め方 | 初期費用 | 月額 | 出典 |
|---|---|---|---|
既存のAIツールを使う | 0円〜 | 1万〜5万円 | アノテ「AI導入の費用相場」 |
SaaS型のAIツールを入れる | 0〜30万円 | 2万〜10万円 | SalesDock「AI導入費用の相場」 |
社員向けのAI活用研修 | 5万〜30万円 | なし | アノテ・キャンプネット |
業務に合わせて作る(カスタム導入) | 50万〜200万円 | 10万〜30万円 | SalesDock |
ゼロから開発する(フルスクラッチ) | 200万〜1,000万円 | 20万〜50万円 | SalesDock |
出典: アノテ「AI導入の費用相場|中小企業の目安と会社選び5基準【2026】」、SalesDock「AI導入費用の相場と、見積もり前に決める3つのこと」、キャンプネット「AI導入の費用は結局いくら?相場を種類別に全公開【2026年版】」
同じゼロからの開発でもキャンプネットの記事は初期100万〜500万円超としていて、記事どうしで数字がそろっていません。
相場は「どの進め方なら、どの桁になるか」をつかむために使い、実際の金額は任せたい業務を決めてから見積もりで確かめるのが確実です。

AIツールそのものの利用料
どの進め方でもAIツールの利用料は別にかかります。たとえばClaude(Anthropic社)の法人向けTeamプランは、標準の席が1人あたり月25ドル(年払いなら月20ドル)で、2席から契約できます(Claudeの料金ページ、2026年10月24日に確認)。
社内で使う人数が増えるほど利用料も増えるので、見積もりの金額とは別に「何人で使うか」を決めておく必要があります。
AI導入費用の内訳
見積書に書かれる金額はだいたい次の4つに分かれます。
費用 | 中身 | 見落としやすい点 |
|---|---|---|
初期費用(構築費) | 業務の整理、仕組みの設計と構築、テスト | 業務の整理(棚卸し)が含まれているか |
月額(支援・保守) | 定例の打ち合わせ、相談、設定の見直し | 何回の定例と何件の相談が含まれるか |
AIツールの利用料 | ChatGPTやClaudeなどの席の料金、使った量に応じた料金 | 見積もりに入っておらず実費で別にかかることが多い |
社内の時間 | 担当者が手順を説明する時間、AIの出力を確かめる時間 | 金額に出ないが、使い始めの時期は特に多くかかる |
見積もりを比べるときは初期費用だけで比べず、月額とツールの利用料を足した1年分の合計で比べると、あとから予算が足りなくなるのを防げます。
作る範囲で費用が変わる理由
業務に合わせてAIの仕組みを作る場合、金額を左右するのは使う技術よりも「どこまでをAIに任せるか」です。理由は4つあります。
1. 作業の数と業務のつながり
1つの作業だけを任せるのと、業務の流れを最初から最後まで任せるのとでは、決めることの量が違います。
たとえば「録音から議事録を作る」は1つの作業です。一方「アンケートを回収してレポートにまとめる」は、回収・集計・まとめ・提出という複数の作業がつながった業務になります。
作業がつながるほど、前の作業の結果を次の作業にどう渡すかを決めて、全体を通して試す必要があります。
2. 判断の数と例外の数
手順が決まっている作業はAIに渡す指示も短く済みます。費用が上がるのは「この場合はこうする」という判断や例外が多い業務です。
問い合わせの一次返信ならよくある質問への答え方に加えて、返金の相談や苦情のように人に回すべき場面をどこで見分けるかまで決めます。判断の分かれ目を1つずつ言葉にして試すので、その数だけ設計と確認の時間が増えます。
3. つなぐサービスの数
会計ソフト、顧客管理、チャット、Googleスプレッドシートなど、AIが読み書きするサービスが増えるほど、接続の設定と動作の確認が増えます。社内のデータがどこに置いてあるかでも手間が変わります。
4. 実際の業務データで試す期間
作った仕組みは実際の業務のデータで動かして精度を確かめてから引き渡します。1つの作業なら数週間で確かめられますが、複数の業務を通しで動かすものは月をまたいで起きる例外まで見るため数か月かかります。
Macminolの料金の実例(NOL-AI)
範囲で金額が変わる様子をMacminolのAI導入支援「NOL-AI」の料金で示します。
NOL-AIはAIの仕組みを業務単位で作ってお渡しする「AIエージェント構築」と、社内で一緒に進める月額制の「AI活用サポート」の2つから選べます。
AIエージェント構築(買い切り)
プラン | 任せる範囲 | 金額(税別) | 制作・検証の期間 | 構築の例 |
|---|---|---|---|---|
ライト | 手順が決まっている1つの作業 | 50,000円〜 | 2〜3週間 | 録音からの議事録作成、問い合わせの一次返信の下書き、領収書の読み取りと精算入力 |
スタンダード | 1つの業務の流れを最初から最後まで | 150,000円〜 | 1〜1.5か月 | アンケート回収からのレポート作成、売上データの収集から月次報告、勤怠の締めから給与計算 |
プレミアム | 判断を挟みながら複数の業務を通しで | 300,000円〜 | 2〜3か月 | 問い合わせの一元化と対応漏れの検知、来店が途切れそうなお客様の検出、訪問・配送ルートの組み直し |
業務単位の買い切りで、契約期間はありません
納品後の運用サポート(動作の確認、業務が変わったときの設定の見直し)は月10,000円〜で任意で付けられます
AIツールの利用料は実費で別にかかります
金額の段階は上の「作る範囲で費用が変わる理由」の1と2にそのまま対応しています。
1つの作業から1つの業務の流れ、判断を挟む複数の業務へと、作業のつながりと判断の数が増えるほど期間と金額が上がります。
AI活用サポート(月額)
プラン | 定例 | 同時に進める業務 | 参加人数 | 金額(税別) |
|---|---|---|---|---|
ライト | 月2回 | 1つ | 1名 | 月50,000円〜 |
スタンダード | 月2回 | 3つまで | 1名 | 月100,000円〜 |
プレミアム | 月4回 | 制限なし | 2名〜 | 月200,000円〜 |
業務の棚卸し、進め方の相談、プロンプトや設定の添削、AIエージェントの構築支援が含まれ、チャットでの相談は回数の制限がありません
初期費用は不要で、最低契約期間は3か月です。4か月目以降は1か月単位で続けられます
AIの仕組みを社外にまるごと任せたいならAIエージェント構築、社内にAIを使いこなせる人を育てたいならAI活用サポートと、体制に合わせて選べます。両方を組み合わせることもできます。

費用対効果の考え方
AI導入の費用は「その業務に今どれだけの時間がかかっているか」と並べて判断します。
月に何時間かかっている業務を、何時間減らせる見込みかを先に出しておくと、構築費や月額が見合うかを社内で説明しやすくなります。
NOL-AIでは契約の前に対象の業務ごとに減らせる時間の見込みと料金をお出ししています。設計の段階で時間が減らせないと分かった場合は中止をご提案し、構築費用はいただきません。
実際の例としてWeb制作会社の株式会社ラジャ様ではNOL-AIの導入から約3か月で次の変化がありました(NOL-AIのページの導入事例より)。
ホームページの制作時間が約3分の1に短くなった
月に対応できる相談件数が10件から20件に増えた
経理と支払いの処理を自動にして、代表の月10〜20時間の作業がなくなった
削減できたコストは年間200〜300万円
補助金で費用を抑える
国の「デジタル化・AI導入補助金2026」(旧IT導入補助金)を使うと、ITツールの導入費の一部が補助されます。通常枠の内容は次のとおりです(デジタル化・AI導入補助金2026「通常枠」、2026年10月24日に確認)。
項目 | 内容 |
|---|---|
補助率 | 2分の1以内(2024年10月〜2025年9月の間に3か月以上、2025年度改定の地域別最低賃金未満で雇っていた従業員が全従業員の30%以上の場合は3分の2以内) |
補助額 | 1プロセス以上で5万円以上150万円未満、4プロセス以上で150万円以上450万円以下 |
対象になる経費 | ソフトウェアの購入費、クラウドの利用料(最大2年分)、導入や活用のコンサルティング、導入設定や研修、保守サポート |
使えるのは事務局に登録されたITツールで、登録された「IT導入支援事業者」と一緒に申請する仕組みです。導入したいツールや依頼先が対象になっているかは、事務局のサイトの「ITツール検索」で確かめられます。
公募は回ごとに締切があり、2026年10月9日には第7回の公募から制度を変えるお知らせも出ています。申請を考えるときはその時点の公募要領を事務局のサイトで確認してください。
見積もりを取る前に決めておくこと
見積もりの金額は依頼する側がどこまで決めているかで大きく変わります。次の4つを先に書き出しておくと、複数の会社の見積もりを同じ条件で比べられます。
任せたい業務を1つに絞る。 「AIで効率化したい」のままだと、相手も範囲を広めに見て金額を出すしかありません。絞り方は「AI業務効率化は何から始めるか」の棚卸しの手順で書いています
その業務にかかっている時間を書く。 誰が、月に何回、1回に何分かけているか。費用対効果を判断する材料になります
使っているサービスを書き出す。 会計ソフト、顧客管理、チャット、スプレッドシートなど、AIが読み書きする先です
AIの出力を誰が確かめるかを決める。 お客様への送信や支払いのように外に出るものは人が確かめてから実行する形にします
手順が決まった1つの作業から始めて効果を確かめてから広げると、最初の費用を抑えられます。
進め方でつまずきやすい所は「AI導入で中小企業が失敗する原因7つと防ぎ方」にまとめています。
よくある質問
Q. 中小企業のAI導入費用の相場はいくらですか。
A. 進め方で変わります。既存のAIツールを使うだけなら月1万〜5万円、業務に合わせて作るなら初期50万〜200万円・月10万〜30万円、ゼロから開発するなら初期200万〜1,000万円・月20万〜50万円とする解説記事があります(出典は本文の早見表)。NOL-AIでは業務単位の構築を5万円〜(税別)でお受けしています。
Q. 見積もりの金額のほかに、かかる費用はありますか。
A. AIツールの利用料が別にかかることがほとんどです。ChatGPTやClaudeの法人向けプランは使う人数に応じて料金がかかります。社内の担当者が手順を説明したり、AIの出力を確かめたりする時間も見込んでおきます。
Q. 補助金は使えますか。
A. デジタル化・AI導入補助金2026の対象になる場合があります。ただし対象は事務局に登録されたITツールと、登録されたIT導入支援事業者を通した申請に限られます。依頼先やツールが対象かどうかは事務局のサイトで確かめてください。
Q. 効果が出なかったら費用は無駄になりませんか。
A. 契約の前に減らせる時間の見込みと料金を出してもらい、見合うかを確かめてから進めます。NOL-AIでは設計の段階で効果が見込めないと分かった場合は中止をご提案し、構築費用はいただきません。
Q. 作ったあとの保守費用はかかりますか。
A. 依頼先によって違います。NOL-AIのAIエージェント構築は買い切りで、納品後の運用サポートは月10,000円〜で任意で付けられます。業務が変わったときの設定の見直しや精度の改善に対応します。
AI導入の費用をMacminolに相談する
MacminolのAI導入支援「NOL-AI」では、業務単位で作ってお渡しする「AIエージェント構築」を5〜30万円(税別)、定例で一緒に進める「AI活用サポート」を月5〜40万円(税別)でお受けしています。
どの業務から任せると費用に見合うか、どれくらい時間を減らせる見込みかは、契約不要の無料AI業務診断でお伝えします。
この記事を書いた人
Macminol株式会社 代表
松下 和樹
兵庫県明石市で中小企業のホームページ制作、LINE公式アカウントの構築と運用、AI導入支援を手がける。請求書の発行や会議の記録など自社の業務の多くをAIに任せて回し、その運用の決まりをもとにお客様のAI導入を支援している。
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