松下 和樹

Claude Codeを使うと、請求書・領収書の発行、受け取った領収書の整理、月ごとの売上や報酬の集計は、ほぼ自動で回せます。人が持つのは「金額を決める」「相手に送る」「税務の判断をする」の3つだけです。
Macminolでは自社の請求書と領収書をこの形で発行していて、お客様向けには提携先からの成果報酬を毎月集計する仕組みを作っています。
この記事では実際に動いている仕組みの流れと、作る途中でつまずいた所、自動化してよい所と人が見る所の線引きを順に書きます。

Claude Codeで経理はどこまで自動化できるか
Claude CodeはAnthropic社が提供するAIエージェントです。パソコンの中のファイルを読み書きし、コマンドやプログラムを動かせるので、書類を作って保存するところまで自分で手を動かせます。
経理の仕事に当てはめると、自動化しやすいのは次のような作業です。
決まったひな形に、宛先・品目・金額を流し込んで書類を作る
書類に番号を振り、PDFにして決まったフォルダへ保存する
届いた領収書の画像に、決まった規則で名前を付けて保存し、一覧表に登録する
月ごとの記録を集め、取引先ごと・月ごとに合計を出す
どれも「手順が決まっていて、毎回やることが同じ」作業です。
反対に、いくらで請求するか、どの勘定科目にするか、この経費は認められるか、といった判断は自動化の対象にしません。この線引きは後半の表にまとめています。
Macminolが自社で回している4つの仕組み
Macminolはホームページ制作・LINE公式アカウントの構築・AI導入支援を行う会社で、経理の専任者はいません。そこで経理の定型作業をClaude Codeに任せ、代表は確認と判断だけをする形にしました。
仕組み | Claude Codeがやること | 人がやること |
|---|---|---|
請求書の発行 | ひな形のコピー・値の流し込み・採番・PDF化・ドライブへの保存 | 金額の確認・相手への送付 |
領収書の発行 | 請求書番号から宛名と金額を引き継いで発行・保存 | 入金の確認・相手への送付 |
受け取った領収書の整理 | ファイル名の付け直し・ドライブへの保存・一覧表への登録 | 経費として認めるかの判断 |
売上の整理 | 年ごとの売上管理表にまとめる | 税理士とのやり取り・申告 |
ここからはそれぞれの流れを順に書きます。
請求書の発行
請求書はGoogleスプレッドシートで作ったひな形をもとに発行しています。それまでに発行していた請求書と同じ見た目・同じ名前の付け方になるように、ひな形を先に整えました。
代表がチャットで「〇〇様に、着手金の請求書を作って」と頼む
Claude Codeが宛先・件名・品目・数量・税抜の単価をそろえ、金額を代表に確認する
ひな形をコピーし、コピーした側に値を流し込む(ひな形そのものには書き込まない)
小計・消費税・合計・支払期限はスプレッドシートの数式が計算する
ドライブの年ごとのフォルダを見て、「発行日-連番」の形で請求書番号を振る
A4縦1枚のPDFに書き出し、年ごとのフォルダに保存する
Claude CodeがPDFを開いて、1枚に収まっているか・宛先と金額が合っているかを確かめる
代表がPDFを見て、自分でお客様に送る
金額の計算はスプレッドシートの数式に任せています。AIは数字を読み違えることがありますが、数式は毎回同じ答えを出します。AIの役目は「正しい欄に正しい値を入れること」と「出来上がりを確かめること」に絞っています。
支払期限は何も指定しなければ発行日の翌月末を数式が出します。案件ごとに別の条件があるときだけ、日付を指定します。
領収書の発行
入金を確かめたら、領収書を発行します。請求書をこの仕組みで発行していれば、請求書番号を伝えるだけで宛名・但し書き・金額を引き継げます。
代表が入金を確かめ、「〇〇番の領収書を作って」と頼む
Claude Codeが請求書から宛名と金額を引き継ぎ、入金日を発行日にする
分割の支払いなら、但し書きの末尾に「(着手金)」「(残金)」のように何の入金かを書き添える
ひな形のコピーに値を入れ、PDFにしてドライブの年ごとのフォルダに保存する
代表が中身を見て、相手に送る
税込の金額しか分からないときは税抜に戻す計算で1円ずれることがあります。
そのためClaude Codeは税込を1.1で割った値の切り捨てと切り上げを両方試し、消費税を足すと税込にぴったり戻るほうを採ります。どちらでも合わないときだけ代表に聞きます。
受け取った領収書の整理
経費の領収書は社内のチャットの専用チャンネルに画像やPDFを投げるところから始まります。
代表が領収書の画像をチャンネルに投稿する
Claude Codeが「日付_領収書_支払先」の形にファイル名を付け直す
ドライブの年ごとのフォルダに保存する
Notionの領収書の一覧に、内容・日付・金額・ドライブのリンクを登録する
金額が読み取れないものは「確認が必要」と書いて残す
この流れでは保存と登録のどちらかが失敗したら「一部未完了」として報告するように決めています。一覧に載っているのにファイルが無い、という状態を作らないためです。
経費として認めるかどうかは代表が目で見て決めます。
売上の整理
年に一度、税理士に渡す前の売上管理表をまとめる作業もClaude Codeに手伝わせています。会社の決算の考え方(いつの売上として数えるか)や口座・カードの使い分けは事前に文章にしてClaude Codeに読ませているので、毎回説明し直さずに済みます。
Claude Codeの役目は税理士に渡せる状態まで整えることで、申告そのものは税理士に任せています。
請求書の自動化でつまずいた所
仕組みを作る途中で画面では気づけない失敗がいくつもありました。これから作る方の参考になると思うので、そのまま書きます。

行の高さが足りないと日本語の下端だけが欠ける。 スプレッドシート上では普通に見えるのに、PDFにすると「登録番号」の4文字の下の部分が削れていました。
等倍のPDFでも気づきにくく、拡大して初めて分かりました。いまは文字の大きさごとに必要な行の高さを決めて、ひな形を直すたびに拡大して確かめています。
セルにメモを付けるとPDFに番号が印字される。 ひな形の作業メモのつもりで付けたコメントが、PDFの中に脚注の番号として出てしまいました。ひな形にはメモを付けない決まりにしています。
「=」で始まる文字はエラーになる。 書き方の説明を書いたつもりの文字が数式として読まれ、エラーの表示に変わりました。説明のタブを書き換えたら、全行を読み返すようにしています。
明細が多いと2ページになる。 明細が13行を超えると1枚に収まりません。発行のたびにページ数を数え、2ページ以上なら知らせるようにしました。
どれもAIに「作って」と頼むだけでは防げません。出来上がったPDFを人の目と同じ条件で確かめる手順を、仕組みの中に入れておく必要があります。
お客様の事例 提携先からの成果報酬の集計
MacminolはNOL-AIというAI導入支援のサービスで、お客様の経理まわりの仕組みも作っています。ここでは福利厚生の紹介制度を運営する企業様向けに作っている、成果報酬の集計の仕組みを紹介します。
2026年10月時点で構築中の案件です。
何を集計したいのか
この企業様の制度は導入した企業の従業員とご家族が、提携する施設の対象メニューを福利厚生の価格で使えるものです。利用があると、提携先から運営企業へ成果報酬が支払われます。
そのため毎月「どの提携先で、いくらの利用があったか」を正しく数え、提携先ごとに報酬を計算して請求する必要があります。
打ち合わせではGoogleフォームとスプレッドシートで作る案も比べました。ただフォームでは提携先ごとの利用一覧や、金額の訂正・返金を記録する画面が作れません。
そこで運営企業様がすでにお使いのサーバーに、小さなWebアプリを置く形にしました。追加の月額がかからず、データも運営企業様の手元に残ります。

仕組みの流れ
利用者は勤務先から伝えられた企業コードを入れて利用登録をする
提携先の受付に置いたQRコードを、利用者が自分のスマホで読む
受付の画面にその利用者の利用が金額未入力の状態で出る
会計のあと受付が対象になった金額だけを入力する
金額が登録されると、利用者と運営の両方に通知のメールが届く
訂正や返金は元の記録を消さずに履歴として残す
利用した月の翌月末に運営が月の数字を確かめて締める
締めた数字から提携先ごとの請求書と送付の文面をそろえてドライブに保存する
最後の請求書の段は送る直前で止めています。送るかどうかは運営の方が決めます。
設計で決めたこと
経理の仕組みは数字が合うことと同じくらい「あとから説明できること」が大事です。そのため次のことを最初に決めました。
記録するのは日付・提携先・利用者の番号・金額だけにし、利用の中身は持たない
金額は提携先の申告とし、利用者にも金額入りの通知を送って食い違いに気づける形にする
訂正・返金のたびに「誰が・いつ・何を変えたか」を残す
締めた月の数字はあとから書き換わらないようにする
企業への報告は人数と件数だけを出せるようにする
この仕組みの試作もClaude Codeで作りました。
打ち合わせの文字起こしから仕様をまとめ、動く試作を作り、例外の場面(QRが読めない・金額の訂正・返金・締めたあとの返金)を利用者・受付・運営の3者の立場で通してから提案しています。
NOL-AIのサービスページではほかにも経理・支払いの処理をClaude Codeとマネーフォワードでつないだ株式会社ラジャ様の事例を紹介しています。
経理以外の業務での使い方は「Claude Codeの非エンジニア活用事例8選」にまとめています。
自動化してよい所と人が見る所
自社とお客様の両方で仕組みを作ってきて、線引きは次の形に落ち着きました。
作業 | 任せる先 | 理由 |
|---|---|---|
ひな形への転記・採番・PDF化・保存 | Claude Code | 手順が毎回同じで、出来上がりを機械で確かめられる |
小計・消費税・合計の計算 | スプレッドシートの数式 | 同じ入力なら必ず同じ答えになる |
出来上がりの確認(ページ数・欠け・宛先) | Claude Codeと人 | AIが先に見て、人が最後に見る |
請求する金額を決める | 人 | 取引の条件を知っているのは人だけ |
相手への送付 | 人 | 送ったものは取り消せない |
勘定科目・経費として認めるか | 人と税理士 | 税務の判断になる |
申告 | 税理士 | 専門家の仕事 |
AIに任せる範囲を広げるほど楽になりますが、「送る」と「税務の判断」だけは人に残しています。送ったあとに誤りに気づいても取り消せないからです。
Claude Codeの仕事はPDFを作って止まるところまでです。
インボイス制度と電子帳簿保存法で確かめておくこと
請求書や領収書を自動で作るときは、制度の決まりに合っているかを一度は専門家と確かめてください。ここでは国税庁の案内で確かめた点だけを挙げます。
インボイス(適格請求書)の記載事項。 国税庁の案内では次の項目などを載せることになっています。
相手の名称
自社の名称と登録番号
取引の年月日
取引の内容
税率ごとの対価の合計と適用税率
税率ごとの消費税額
また、交付したインボイスの写しは保存しておく必要があるとされています。
Macminolでは請求書と領収書の両方に登録番号を載せ、発行したPDFを年ごとのフォルダに残しています。いまの仕組みは消費税10%だけに対応していて、軽減税率の品目がある会社は作り方が変わります。
電子で送った書類の保存。 国税庁のパンフレットでは請求書や領収書を電子データで送ったり受け取ったりした場合、受け取った側も送った側も保存が必要だと案内されています。
保存には改ざんを防ぐ措置と、日付・金額・取引先で検索できるようにすることが求められ、表計算ソフトの索引簿や規則的なファイル名でも対応できるとされています。
自動化した仕組みが自社の保存の方法として要件を満たしているかは、会社の規模や運用によって変わります。仕組みを作る前に顧問の税理士に保存の方法を確かめておくと安心です。
中小企業が経理の自動化を始める順番
これから始める場合は次の順番で進めると失敗が少なくなります。
毎月同じ手順でやっている経理の作業を書き出す
その中から判断を含まず手順が決まっているものを1つ選ぶ(請求書の発行が始めやすい)
いま使っている書類を見本にして、ひな形を整える
金額の計算は表計算の数式に任せ、AIには転記と確認を任せる
「送る」「税務の判断」は人に残すと最初に決めておく
1か月ほど人が全件を見ながら回し、つまずいた所をひな形と手順に戻す
安定したら、領収書の整理や月の集計へ広げる
いきなり全部を自動にしようとすると、どこで間違えたのかが分からなくなります。1つずつ出来上がりを確かめられる単位で広げるのが近道です。
よくある質問
Claude Codeで経理を自動化するのにプログラミングの知識は要りますか
使うだけなら要りません。Macminolでも請求書の発行は日本語で頼むだけで動いています。ただ、最初に仕組みを組む段ではひな形の作り方や保存先の決め方など、決めることがいくつかあります。そこを支援するのがNOL-AIの役割です。
freeeやマネーフォワードを使っていても自動化できますか
できます。会計ソフトとつなぐ方法もありますし、Macminolのように会計ソフトの手前で、スプレッドシートとドライブだけで書類を作る方法もあります。いま使っている道具と、どこまでを自動にしたいかで作り方を選びます。
AIが金額を間違えることはありませんか
AIが数字を読み違える可能性はあります。そのため金額の計算はスプレッドシートの数式に任せ、AIには計算をさせていません。さらに、発行する前に金額を人が確かめ、出来上がったPDFも人が見てから送ります。
送付まで自動にできますか
技術的にはできます。ただMacminolでは自社でもお客様の会社でも送付は人が行う形にしています。送ったものは取り消せないためです。PDFや送付の文面を作って止まるところまでを自動にすると、確認の手間だけで済みます。
費用はどれくらいかかりますか
NOL-AIのAIエージェント構築はライト5万円〜、スタンダード15万円〜、プレミアム30万円〜(いずれも税別)です。社内で使いこなせるように伴走するAI活用サポートは月5万円〜(税別)です。AIツールの利用料は実費で別にかかります。どのプランに当たるかは作業の範囲を伺ってから決めます。
経理の自動化をNOL-AIで相談する
請求書の発行や月の集計は毎月必ずやってくる作業です。1回あたりは短くても、積み重なると経営者や経理担当の方の時間を確実に削ります。
NOL-AIではいまの経理の作業を一緒に洗い出し、AIに任せる所と人が見る所を決めたうえで、現場で使い続けられる形まで仕組みを作ります。契約の前にはAIに任せられる業務と削減できる見込みの時間を無料でご提案しています。
この記事を書いた人
Macminol株式会社 代表
松下 和樹
兵庫県明石市で中小企業のホームページ制作、LINE公式アカウントの構築と運用、AI導入支援を手がける。請求書の発行や会議の記録など自社の業務の多くをAIに任せて回し、その運用の決まりをもとにお客様のAI導入を支援している。
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