松下 和樹

Claude Codeはエンジニアでない人でも業務に使えます。必要なのはしてほしい作業を日本語で説明できることと、外に出すものは人が確かめるという線を先に決めておくことの2つです。
Macminol株式会社にはエンジニアが1人もいません。それでも請求書と領収書の発行、会議の記録、提案書や資料のたたき台、集客の数字の集計まで、日々の業務の多くを Claude Code で回しています。
この記事ではどの会社にもある仕事の単位で実例を8つ取り上げ、何を AI に任せて何を人が持っているかを具体的に書きます。あわせて、始め方の手順とよくある質問もまとめました。
Claude Codeとは何か
Claude CodeはAnthropic社が提供する AI エージェントです。パソコンの中のファイルを読み書きし、コマンドを実行し、Google ドライブや Notion などの外部サービスを操作して、頼まれた作業を最後まで進めます。
チャット型の AI との違いは作業の終わりがどこにあるか、になります。
チャット型のAI | Claude Code | |
|---|---|---|
返ってくるもの | 文章の回答 | 作業の結果(ファイル・PDF・更新されたデータ) |
作業をする人 | 回答を読んだ人が自分で手を動かす | Claude Codeがファイルやサービスを直接操作する |
手順の覚え方 | 会話が変わると前の指示は引き継がれない | 手順を書いたファイルを毎回読んでから動く |
名前に「Code」と入っているためエンジニア向けの道具に見えますが、指示はふつうの日本語で出せます。
Macminolでもプログラムを書くのはClaude Codeの役目で、人が書いているのは「何をしてほしいか」と「どこを直してほしいか」だけです。
非エンジニアでも業務に使える理由
非エンジニアの会社でClaude Codeが回る理由は次の3つにまとめられます。
指示が日本語で済む。 「〇〇社に今月分の請求書を出して」と伝えれば、必要な手順を自分で組み立てます
手順をファイルに書いておける。 会社の決まりや作業の手順を文章のファイルに書いておくと、Claude Codeは作業の前にそれを読みます。人に引き継ぎ書を渡すのと同じ感覚です
直しを積み上げられる。 「次からはこうして」と言われた内容をその手順のファイルに書き足させれば、次の作業から守ります
手順を言葉にできない業務は任せにくいので、最初の仕事は今の作業を書き出すことです。
Macminolの前提
実例の前にMacminol の体制を書いておきます。
社内にエンジニアはいません。ホームページのデザイン・構築、LINE の運用は、業務委託のパートナーと分担しています
事業はホームページ制作(NOL-WEB)、LINE公式アカウントの構築・運用(NOL-LINE)、AI導入支援(NOL-AI)などです
Claude Codeは会社のファイル一式を入れたフォルダの中で動かしています
そのフォルダに会社の決まりや業務ごとの手順を書いたファイルと、代表が決めたことを事業ごとに書き残した台帳を置き、作業の前に読ませています

この前提で次の仕事をClaude Codeに任せています。
非エンジニアの会社のClaude Code活用事例8選
1. 請求書と領収書の発行
「〇〇社に着手金の請求書を出して」と伝えると、Claude Codeが次の順に進めます。
Googleスプレッドシートの請求書のひな形をコピーする(ひな形そのものには書き込まない)
宛先・件名・品目・金額を入れ、請求書番号を自動で振る
PDFに書き出し、Googleドライブの年ごとのフォルダに保存する
領収書も同じ仕組みで、請求書番号を伝えれば宛名と金額を引き継いで発行します。
受け取った経費の領収書も社内のチャットに画像を送ればファイル名を付け直してドライブに保存し、一覧表に登録します。宛先や金額が足りないとき、読み取れないときだけ確認を求めてきます。
人がやるのは金額の確認と相手への送付、経費として認めるかの判断です。金額の計算の持たせ方や、作る途中でつまずいた所は「Claude Code経理自動化の実例」にまとめています。
2. 会議や商談の文字起こしと記録
商談や打ち合わせの録画はClaude Codeが文字起こしを取り込み、清書してドライブに保管し、社内のチャットで知らせるところまで進めます。
Zoomの録画にはもともと文字起こしが付いていて、無いものはパソコンの中で動く無料の文字起こしで起こします。
起こした文章は固有名詞や数字がよく崩れます。そこでMacminolでは起こしたあとに必ず次の2段の校正を挟む決まりにしています。
用語集で機械的に直す。 サービス名や人名など、よく間違える言葉の一覧で置き換える
Claude Codeが全行を読み直す。 文脈や手元の資料と照らして、変換ミス・途中で切れた文・時刻の飛びを直し、確定できない言葉は「確認事項」として残す
有料の文字起こしサービスは品質がどうしても足りないときだけ、金額と理由を添えて相談する決まりです。
3. お客様から受けた質問と回答の整理
お客様からチャットで受けた質問と、こちらが返した回答もClaude Codeが整理しています。
やり取りを「質問」「回答」「補足の回答」に分け、質問の内容と回答の要点を書き添える
どの回答がどの質問に対するものかを突き合わせて組にする
人が確かめた組をよくある質問の台帳にまとめ、週1回Googleスプレッドシートに書き出す
お客様への返信そのものは人が書き、AIには自動で答えさせない決まりにしています。台帳がたまると同じ質問に前と同じ答えを素早く返せるようになり、案内の資料を作るときの材料にもなります。
4. 提案書・構成書・資料のたたき台
提案書や資料も最初のたたき台はClaude Codeが作ります。
提案書。 打ち合わせの文字起こしから要件をまとめ、仕組みの流れや例外の場面まで書いた提案書の下書きを作る
ホームページ制作の構成書。 案件の情報から、デザインの方針・トーン・配色を合意するための構成書を制作管理のスプレッドシートに書き込む
スライドの資料。 決まった色と構図の組み合わせで、プレゼン資料をHTMLとPDFで作る
契約書。 ひな形をもとに条件を書き込む。同じお客様の書類は前回お客様に直していただいた点を先に反映する
どれも代表が中身を読んで直してから使います。白紙から書き始めずに済むので、人の時間は「何を伝えるか」を決めることに使えます。
5. 集客の数字の集計とレポート
次の数字をClaude Codeが作った集計の仕組みで1つの画面にまとめています。
ホームページのアクセス(Googleアナリティクス)
検索での表示とクリック(Search Console)
LINE公式アカウントの友だち追加
YouTubeとInstagramの再生数
問い合わせの件数
集計の決まりは次のとおりです。
数字は毎朝7時に自動で更新する
狙っている検索語28語のGoogleでの順位を週1回取る
目標や良し悪しの判定は出さず、事実の数字だけを並べる
以前は週1回、文字だけのレポートを読んでいましたが、分かりにくいのでグラフで見られる形に作り直しました。どの投稿やページが伸びたかを見て、伸びたものを真似するための画面です。

6. 社内文書の確認と直し
台本・記事・提案書・案内文などの文書はClaude Codeが下書きを出し、代表が気になる箇所に指摘を書いて直してもらいます。
大事にしているのは指摘を「次から守る直し方」として文書の種類ごとに書き残すことです。次に同じ種類の文書を書く前に、Claude Codeはそれを読み込みます。
たとえばブログ記事には2026年10月時点で「見出しに読点を使わない」「読み手が知らない固有名詞を出さない」などの決まりが入っていて、この記事もそれに沿って書いています。
同じ指摘を二度しなくて済むので、確認にかかる代表の時間が回を重ねるごとに短くなります。
7. SNS・ブログ・案内文の下書き
Xの投稿や長文記事、ブログ、お客様への案内文の下書きもClaude Codeが作ります。下書きは代表が読んで直してから使います。
ここでは送信と公開のボタンは人が押すと決めています。Xへの投稿、LINEの配信、メールの送信、Webサイトへの公開は、下書きや予約の準備までAIが進め、最後は代表が承認してから出します。
8. 予定とやることの整理
朝に「今日の予定を組んで」と頼むと、Claude CodeがGoogleカレンダーの予定とタスクの一覧から、その日の時間割の案を作ります。代表が案をまとめて承認すると、カレンダーとタスクの一覧に登録します。
オンラインの会の日程が決まったときも、Googleカレンダーへの登録、Zoomの参加リンクの発行、案内文の準備までを一続きで進めます。
案内に会議のリンクや日時を入れるときは、送る前にZoom側の登録内容と照らし合わせ、日時とリンクが合っているかを確かめる決まりです。
8つの業務の分担表
業務 | Claude Codeがやること | 人がやること |
|---|---|---|
請求書・領収書 | ひな形のコピー、記入、採番、PDF化、保存、受け取った領収書の登録 | 金額の確認、送付、経費の判断 |
会議の記録 | 文字起こし、用語集での補正、全行の校正、保管と共有 | 確認事項への回答 |
質問と回答の整理 | 分類、質問と回答の突き合わせ、台帳への書き出し | 返信、組み合わせの確認 |
提案書・資料 | 要件のまとめ、たたき台の作成 | 中身の判断、直し |
数字の集計 | 毎朝の集計、週1回の順位取得、画面の更新 | 数字を見て次の手を決める |
文書の確認 | 下書き、指摘に沿った直し、直し方の記録 | 指摘と承認 |
SNS・ブログ・案内文 | 下書き、予約の準備 | 推敲、投稿・送信・公開の承認 |
予定の整理 | 時間割の案、カレンダー登録、会議リンクの発行と照合 | 何をやるかの決定 |
お客様の事例:社員全員がClaude Codeを使うようになったWeb制作会社
AI導入支援(NOL-AI)のお客様の事例も1つ紹介します。Web制作会社の株式会社ラジャ様です。
最初に代表の森永様が自分でClaude Codeを使って良さを体験し、そのあとMacminolが社員の方一人ひとりに個別でレクチャーして、約3ヶ月で社員全員が使う状態になりました。
インタビューで森永様が話された変化は次のとおりです。
ホームページの制作時間が約3分の1に短くなった
月に対応できる商談が10件ほどから20件に増えた
経費処理や支払い処理はClaudeと会計ソフト(マネーフォワード)をつないで自動にした
NOL-AIのページでは削減できたコストを年間200〜300万円としてご紹介しています。森永様が「まず経営層から入れていって」と話されたとおり、経営者が先に触ることが社内に広げるきっかけになりました。
回していて分かった5つのこと
手順はファイルに書いて毎回読ませる
会話で教えたことは次の会話では引き継がれません。
Macminolでは決まりや手順は必ずファイルに書き、Claude Codeが作業の前に読む形にしています。人が入れ替わっても困らない引き継ぎ書を、AIのために書いておくイメージです。
外に出るボタンは人が押す
AIは親切心で、頼まれていない送信までやろうとすることがあります。X・LINE・メール・Web公開の4つは承認が要ると書いておき、下書きまでで止まるようにしています。
パスワードやAPIキーは指示文に書かない
外部サービスにつなぐための鍵は決まった保管場所に置き、指示の文章やコマンドに直接書かない決まりにしています。指示の履歴に鍵が残るのを防ぐためです。
直しは1回目から次の既定にする
「前も言ったのに」を減らすため、直しを受けたらその場で手順のファイルに書き足します。2回目を待ってから決まりにすると、同じ指摘を2回することになるからです。
有料のサービスに黙って切り替えない
画像の生成や文字起こしには使った分だけお金がかかるサービスもあります。Macminolではまず契約中のプランの範囲で試し、品質が足りないときだけ金額と理由を添えて相談する決まりにしています。
アカウントの分け方や権限、社内ルールの置き方は「Claude Code法人導入の手順」で手順ごとに書いています。
始めやすいのはどんな状況か
Macminolで早く回り始めたのは次のような業務でした。
請求、記録、報告、日程調整など、毎週・毎月同じ手順でくり返している
Google Workspace、Notion、Chatworkなど、使う情報がクラウドに置いてある
経営者や事務の責任者が最初の数週間、自分で指示を出して直せる
どこまでAIに任せるか、誰が確認するかを文章にできている
手順が担当者の頭の中にしか無い業務や、紙の書類が中心の業務は、まず手順の書き出しや電子化から始めることになります。
非エンジニアがClaude Codeを始める5ステップ
時間を取られている作業を1つ選ぶ。 毎週・毎月くり返していて、手順がだいたい決まっているものから選びます
今の手順を箇条書きで書き出す。 使っているファイル、保存先、確認する人、よくある例外まで書きます
Claude Codeに手順を渡して一度通す。 最初は保存や下書きまでにして、送信や公開は人が行います
直したい所を言葉で伝え、手順書に書き足させる。 「次からはこうして」をその場でファイルに残させます
2〜3週間回してから次の業務に広げる。 1つ目が回れば、2つ目からは手順書の書き方が分かっているので速くなります

よくある質問
Q. プログラミングの知識は必要ですか。
A. 必要ありません。指示は日本語で出せます。Macminolでも数字の集計や書類の発行に要るプログラムはClaude Codeが書いていて、人は使う側の言葉で注文と直しを伝えています。最初の設定(インストールや外部サービスとの接続)は慣れた人に手伝ってもらうと早く進みます。
Q. ChatGPTとはどう違いますか。
A. チャット型のAIは回答を返し、作業は人がします。Claude Codeはパソコンの中のファイルや外部サービスを操作して、作業の結果まで出します。手順をファイルに書いておけば、毎回それを読んでから動く点も違います。
Q. 情報漏えいや誤送信が心配です。
A. 先に社内の決まりを文章にしておくのが確実です。Macminolでは外部への送信や公開は人の承認の後にすること、パスワードや鍵を指示文に書かないことを決まりとして置き、Claude Codeが毎回読むようにしています。
Q. どの業務から始めるのがよいですか。
A. 議事録の作成、定型の書類の発行、問い合わせへの一次返信の下書きなど、手順が決まった1つの作業から始めると進めやすいです。うまく回ったら、報告書の作成や日程の調整のように、いくつかの作業がつながった業務に広げます。
Q. 費用はどれくらいかかりますか。
A. Claudeの有料プランの利用料がかかります。Macminolは法人向けのTeamプランを使っています。プランごとの料金は「Claude Code法人導入の手順」に載せています。社内で使う人数や、つなぐ外部サービスによっても変わるので、まず1つの業務で試してから広げるのが無駄のない進め方です。
Claude Codeの導入をMacminolに相談する
MacminolのAI導入支援「NOL-AI」では、自社で回している仕組みをもとに、御社の業務に合わせたClaude CodeやAIエージェントの導入をお手伝いしています。
業務単位で作ってお渡しする「AIエージェント構築」は5〜30万円(税別)、定例で一緒に進める「AI活用サポート」は月5〜40万円(税別)です。
どの業務から任せられるかは無料のAI業務診断でお伝えします。
この記事を書いた人
Macminol株式会社 代表
松下 和樹
兵庫県明石市で中小企業のホームページ制作、LINE公式アカウントの構築と運用、AI導入支援を手がける。請求書の発行や会議の記録など自社の業務の多くをAIに任せて回し、その運用の決まりをもとにお客様のAI導入を支援している。
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